連合艦隊司令長官 山本五十六

五十六っていう名前だから少年時代イジメられた経験があり、その経験が優しく強い男を作り上げたのではないか?!(もしいじめられていないとしたらペンネーム?)と思って、ドキドキしながら最初の少年時代のシーンを凝視したが、そんなことは全く(当然だけど)えがかれておらず、一瞬ガックリした。
しかし、少年五十六が育った長岡という地域は、幕府に抵抗した賊軍であり、政府軍によって町が焼かれ、故郷を国に焼かれた五十六少年が、戦というものの悲惨さを胸に刻みつけたであろう心情変化を、映画の冒頭に持ってきた辺りから(戦争映画にありがちな、激しいバトルシーンを冒頭に持ってこなかったことも含めて)、この物語の奥深さを最初から実感し、思わず気合を入れて見なければなるまいという心境に冒頭なった。
その後は、山本五十六の暖かい人柄や、日本国中が戦争を熱望していた事を(経済的にも戦争特需を欲していた)新聞記者や居酒屋の与太話から、見る人が観たらすごく不愉快な事を堂々画面に映し出すことで、真実を伝えたい気持ちが、ビンビンきた。
このビンビン感が、最後まで維持され、緊張感を保ったまま、全編二時間半を一気にエンディングまで駆け抜けれた作品であったと思う。
このスピード感はイマドキの作品みたいやと思った。
戦争の経緯も、シンプルで一つ一つ丁寧に布石をうちながら進んでいったので、とてもわかりやすかった。
僕は四回、目頭が熱くなりました。
名作でした。
追記
山本五十六の最後は、やはり死にたかったようなえがかれかたをしている。
真珠湾攻撃は山本的には失敗し、ミッドウェイで大敗し、最後の作戦では、部下を見殺しにする事を作戦として行わなければならなかった悲劇に、山本が耐えれなくなったのではないかと思う。
周囲の人間は死に場所を得て、散っているのに自分だけこの厳しい戦いを遂行しなければならないのか。
作戦家として、勝利の望みが無い戦いを続けていく事ほど辛い事はない。
維新後、日本となってからのすべての戦いをその目で見てきた山本にとって日本が負ける事は痛いほど実感してただろうし、部下想いの山本にとっては、負け続ける事が確実で、さらに多くの将兵を犠牲にしなければならない作戦の決断を続けていくことなど出来るはずがなかったのだろう。
そこで、最後の反抗作戦 い号作戦の成功をもって、講話へ持っていかせるための、無言の圧力として死を選んだのではないだろうか。
しかし、それでも日本を止める事は出来なかった。
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