「海外居住の日本人は日本人ではない」論へのささやかな反論

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「海外居住の日本人は日本人ではない」

どこかで見たこの言葉が、モンゴルにきてから頭を離れませんでした。(ちなみにダンボーくんがもっているのには縦文字モンゴル語で「たけし」と書いています)

確かにモンゴルで出会う日本人は良くも悪くも「日本人っぽくない」と感じる事があります。僕も自分のことが「日本人っぽくないのかも」と思う事もあります。

なんとなく、この言葉に説得力があるような気がしつつも、なんか違うよねという違和感も感じていました。

国民とは何か

そんなこんなでもやもやしていた時、冒頭のソースをたまたま発見しました。

以下、私家版・ユダヤ文化論からの引用です。

ユダヤ人の定義へ対してのアンチテーゼとして、まず国民の概念の説明から入っています。

「『国民』というのは、原理的には、地理的に集住し、単一の政治単位に帰属し、同一言語を用い、伝統的文化を共有する成員のことだと私たちが信じているからである。だから、そのうちのどれか一つでも条件が欠ければ、国民的連帯感が損なわれるのは当然」私家版・ユダヤ文化論 内田樹さん

「外国に定住する日本人、日本国籍を持たない日本人、日本語を理解せず日本の伝統文化に愛着を示さない日本人、そのようなものを私たちは『日本のフルメンバー』にカウントする習慣を持たない。それは私たちにとって『自明』である」私家版・ユダヤ文化論 内田樹さん

「外国に定住する日本人を日本のフルメンバーとしてカウントしない」と言っています。

僕は最初にこの文章を見た時、「えっそうだったのか・・・?」と驚きました。「外国に住む日本人も当たり前のように日本人だろう」と僕は思っていましたが、それだったら「僕も海外で生活したら日本人じゃなくなるのか!」といった謎のワクワク感も同時に生まれました。

モンゴルへ来たのも、そのような心の動きが影響したのかもしれません。

海外居住の日本人は日本人か

内田樹さんは「日本のフルメンバーにはカウントしない」と言っています。確かになんとなくわかるところはあります。海外居住の日本人を日本在住者から見ると「日本人に求められる周囲との協調を放り出して国から出て行った人々」とも捉えられるからです。

でもモンゴルで生活してみて海外居住の日本人も日本人だと思うようになりました。

モンゴルで感じた日本人

モンゴルは親日国です。モンゴル人にとって日本人は親切で謙虚な人達だと思われています。日本人が好きだというモンゴル人も、そういった日本人像を期待しています。必然、モンゴルに住む日本人も周囲の期待通りの日本人像を演じる必要に迫られます。また外国人に対して「自分は日本人だ」と名乗った時点で、自分自身もそれを証明しなければならない義務感が発生します。すると「期待通りの日本人像を、周囲と自分との2重の期待によって演じさせられる」ことになってしまいます。

でも上記のことは、日本にいるときに日本人から感じる「お前も日本人らしくあれという脅迫感」よりも弱いものであることは間違いありません。

だからといって、「海外居住の日本人が、日本人であれという圧迫感から逃れて生活している自分勝手な人々ではない」ということはわかって欲しいです。

日本人であれというのはとても便利な方便

このことを書いていて気づいたのですが、僕もよく他人に「お前は日本人だろう」という期待をします。日本人ならば「空気を読める」「時間を守るのが当たり前」「100まで言わなくても言いたい事は理解してくれる」といったような期待をしてしまいます。(まだ他にもたくさんありますが)

こういうのって、出来ない人にとってはすごいうっとおしいものでしかないわけですが、理解して出来る人同士ならばものすごい効率的な仕組みなのではないでしょうか。

例えば僕が前にしていたイベントの仕事はまさに「日本人らしさが求められる仕事」でした。

長く続いているイベントだと現場ごとに空気が生まれていて、もしそれを読み違えると次から呼んでもらえなくなりますが、読み切ってTPO通りのふるまいが出来たら仕事もとても上手く行ったものでした。そういうところは新参者からしたら、ドロドロの世界で気味が悪いものかもしれませんが、一度どっぷり浸かっちゃうとこれほど気持ちよい世界もないよね、ってなると思います。

日本人らしいというのは、ある程度訓練されたビジネスマンと同じ・・・とも言える気もします。

おわりに

上の方で「海外居住の日本人が、日本人であれという圧迫感から逃れて生活している自分勝手な人々ではない」という意見を書きました。

この一事だけを持って「我々は完全なる日本人である」と言い切る勇気はないですが、なんとなく70%ぐらいは日本人かな・・・と思います。

残りの30%はどこでしょうか?

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