投票しないのは、日本への信頼度が高いからだ

(僕は今回、選挙権を得てから始めて、投票をしなかった。
理由は前回のブログに書いたとおり。)
さて
今回の衆議院選挙、投票率が59.32%と戦後最低記録を更新した。

この低さには正直驚いた。

巷ではあちこちで、
「選挙にいかないやつは非国民だ!」
的なネガティブキャンペーンをはっていたにもかかわらずである。

もちろん低い理由は時期的なこともあるだろう。

大雪で投票率会場に行けないこともあったろうし、師走だから忙しい。
それでも投票行為が大切なことだと思っていれば、なんとかして投票しただろう。
やっぱり投票率が低いのは、何か理由がある。
その理由を考えてみた。

そして導いた仮説

「投票しない人は、日本への信頼度が高いから投票しないのだ」

ということだ。
投票しないということは、政治への参画を放棄したということになる。
だから自分以外の人が選んだ政治家や政党がどんな政策を行っても、文句を言ってはいけない。

もしかしたら「全国の佐藤さんは捕まえて処刑」のような法案が通るかもしれない。
そうなっても文句は言えない。

もちろんそんなことはありえないけど、世界の途上国ではどの政党が政権を獲るかによって、自分の生活が大きく変わることが多々起きている。
エジプトでは、イスラム原理主義政党が、政権をとればピラミッドを破壊すると宣言している。
そうなったらピラミッド観光業をやってる人は失業しちゃうし、人類の遺産をぶっ壊すなんて許せない。
だから途上国や混乱している国の人は、みんな自分達のために選挙にいくのが当たり前だ。
(選挙が公正であれば)

だけど日本では、みんな常識の範囲で似たり寄ったりの政策をうちだしている。
"靖国神社を爆破する"のような党是を掲げている政党なんかいない。
だから日本ではどこの政党が政権をとっても、突拍子もないことはやらない。
そのために、いくらかの日本人は投票することに必要性を感じていないのではないか。
総理大臣がこれだけ変わっても、我々にはたいして変わらぬ日常がここ数年訪れている。
これは、誰が政治をしても常識の範囲で同じような結果を導き、たとえ数年で右と左に大きく振れたとしても、自分の生活への影響はたかがしれているということを証明している。

だから、日本が政治家たちによって大きく変わることはあり得ないとみんな考えているのだ。
「誰がどんな政治をしても、日本という国はなんとかやっていくだろうし、自分だけが特別不利益を被るようなことにはならないはずだ」


政治に時間を割くより、他のことに時間を使った方が自分のためになるということだ。
投票することで得られるメリットと、他のことをするメリットとを天秤にかけると、そうなってしまう。

だから貴重な時間と政治について考える時間を割いてまで投票にいく必要がないと思ってしまっているのだろう。

以上、ここまではよく見られる投票にいかない至極当たり前の理由になっている。

でも僕はもう一歩踏み込んで考えてみた。

変わらないからといって、同調圧力の強いこの日本で、四割近くが投票にいかないのは不思議だ。
僕みたいに投票してないことを公言する馬鹿は少ないと思うけど、公言しなくても投票しないことによる心理的ストレスや会話で周囲に暴露てしまうことによるストレスは大きい。(僕は家族から非国民扱いされた)

そんなんだったら、何も考えていなくても「投票してきたぜ!」と堂々している方が、何か日本のために良いことをした気分になって気持ち良いはずだ。
精神的にも良いだろう。
それでもなぜ投票にいかない人が多いのか。
これはたぶん、政治がどうなろうと日本は安心という信頼があるからだろう。
この信頼は日本政府に対してではない。
古来から変わることのない弓なりの形をした国土で育まれた「日本」への信頼だ。
もしクーデターか何かがおこってしまっても、結局のところ日本という国土は落ち着くところに収斂していくんじゃないかという妙な安心感。
その安心感は、最後は死んでしまえばおしまい、死ねば極楽浄土、といった日本人の死に対する諦担とした気持ちが奥底にあるからだと思う。

自然災害や戦争によって、一度に多数の人命が亡くなることを粛々と受け入れ続けてきた日本人。
だから、日本がどうなっても自分たちは生きていけるし、たとえ死んでも極楽浄土だ!のような考えがいくらかでもあるが故に、投票にはいかない、政治なんかどうなっても良い、という層が多いのではないか。

もちろん、投票しない人が増えると、先進国の多数が選択する民主主義が揺らぐことになる。

しかし我々日本人は、その民主主義さえも、変わらないと思っているのかもしれない。
たとえ共産党が政権をとって共産主義にする!と宣言したところで、日本流の共産主義になってしまい結局は今の不完全な民主主義とあんまり変わらないところへ落ち着いてしまうような気がする。
日本は何かが起こったとしても、日本であることは変わらないだろう、という世界一古い国であるこの日本への信頼感。

この信頼感によって、投票にいかなくても良いと考える人が多い、のではないだろうか。

かなりの暴論であることは承知しているが、こんな考えを持っている人達も少なからずいるかもしれないという可能性を示せればよかったと思う。

おわり

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