遊牧民には勝てない。
草原のむこうからドドドという馬の足音を轟かせ、馬に乗って颯爽と駆けて行くデール姿のモンゴル人のなんてかっこいいことよ。
さながらこれは、自然と人と馬が織りなす芸術である。
僕がデールを羽織り、遊牧民の靴を履き、馬で駆けても、さっぱり違う。
日本の女子が「モンゴル人かっこいい」と目を輝かせながら言ってて、僕が「そうだね」と頷く度に心のどこかを風が通っていた。
モンゴル人が馬で駆ける姿に羨望を感じつつも、どうしようもない敗北感が混じってくる。
遊牧民のように駆けることは出来ないので、やっぱり僕は日本での仕事を頑張ろうと思った秋。