モンゴル人の凄さを感じた瞬間

土曜日はすごい寒い日だった。

ヤフー天気予報の最低気温はマイナス20度を示しており、また最高気温でさえマイナス10度しかない、雪が空気を引き裂きながら落ちてくるような日だった。

僕は寒さに対抗すべくあらゆる防寒対策をした。
帽子は狐の毛皮、靴は犬の毛皮が中に入っている乗馬用、そしてマフラーはカシミヤ。さらにズボンの下にはユニクロのパッチを履き、上半身はドンキのヒートテックでその上にユニクロのダウンを着用、そしてさらに分厚いモンゴルデールによって全身を包み込むことであらゆる寒さから身も守れるような万全の態勢を整えていた。

でも手袋だけは使わなかった。
iPhoneを使う時にいちいちとらないとダメだし、寒くてもズボンのポケットに手を突っ込んでおけば大丈夫だった。

しかし、甘かった。

手を外気に晒したのは、写真を撮るためにポケットから手を出してiPhoneで撮影をしたほんの30秒ぐらいの短い間だったが、それだけで手がそのまま凍りつきそうなぐらい冷たくなってしまった。すぐさまポケットに突っ込んでみても冷たさはなかなか治らなかった。

「手袋がないと凍傷になる」と思った僕は、手袋を買いに行くためにカバンを友人に預けて行こうとした。

すると目の前を小太りで背の低めなモンゴル人女性が通り過ぎていく。なんとその人が着ていたのはブラジャーが透けるぐらいの薄い半袖の白シャツだけだった。

さすがに寒そうな顔をしていたが、それでもようようと目的地へ向かって歩いていく。

僕は手を外気に30秒晒しただけで辛い思いをしたというのに、半袖シャツ一枚だけで外を歩いている人がいる。

なぜiPhone用の手袋を持ってこなかったのか。後悔した瞬間である。

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