資本主義の終焉と歴史の危機を読む。
本屋でタイトルを見たときに思ったことは、「資本主義の終焉ってなんやねん!資本主義が終わるはずないやろ。
歴史の危機ってのも全く意味わからへんな。これはよくあるくだらないアナーキ的な批判本の一つなんやろう」と見向きもしなかった。
でも最近になって、ピケティという人が出した「21世紀の資本論」が大流行しているらしい。
「ピケティ?新しいピエロ?」
「21世紀の資本論」のテーマが格差の拡大であった。
概論を読んだ限りでは、まず労働から得る収入が資本から得る収入には勝てないことが証明された。努力は相続には勝てないということだ。
今の制度のままでは、裕福な人がさらに超裕福になっていき、中流層が没落して低所得層になっていくという。結論としてピケティは、所得の再分配のために、裕福な人に高税率を課すべしと言っている。
全くもってその通りで、裕福な人に、我々普通に働いている人が勝てないのは、昔から自明の理であったが、データーと共にいちいち説明されると、なんか不公平な世界なんだなあとますます思ってしまった。
でも世界が不公平なんは当たり前だし、運と努力次第では自分でも裕福な人になれる可能性はあるわけで、特に今までと認識が変わるような事はなかった。
だがしかし、資本主義の終焉と歴史の危機を読み始めていくにつれて、この認識にぐらつきが出てきた。
資本主義とはどういう仕組みであるのか。
過去の歴史からみて今はどういう状態なのか。
わかりやすいデーターと解説により、既存の成長神話に対して勢いよく切り込んでいっている。ピケティよりも先に行っている感がある。
たぶん、みんなも最近薄々と感じていた「給料は増えていないのに、物価や税金だけどんどん上がっている」
「これ以上、給料は増えないんじゃないか」といった等々への、一つの解答が得られると思う。
気になった人は、「はじめにー資本主義が死ぬとき」
だけでも読んで欲しい。
資本主義とは要するに、頭の良い人にお金を集めてフロンティアを開拓してもらい、周辺におこぼれが行き渡ることで成長と豊かさを生み出してきたシステムだ。
でも今の時代のようにフロンティアがなくなりつつある時に、このようなやり方では格差ばかりが生まれてしまう。
考えてみれば簡単な話だろう。また情報もすぐに伝播していくので、昔ほど個人でできることの格差は少なくなっているはずだ。
中でも、資本主義が進めば進むほど、労働者の賃金が下がっていくのは必然であるという話は目から鱗だった。
決して希望的ではないけれど、「経済成長」に頼る生き方をしなければ良いだけだ。
また著者は、「日本こそ脱成長という成長が出来る国」と助け船も出している。
お金のために働くよりも、安いがやりたい仕事を目指す人や、田舎でスローライフを生きる若者もたくさん出てきている。
このあたりの新しい時代への感受性は、日本人の若者は高い方だと思う。
何十年後かに「昔の資本主義ってひどい仕組みやったな〜!今の方がめっちゃ仕事やりやすいやん♫」などと言ってる日がくるのだろうかと、期待して終わりにする。
PS
資本主義の終焉と歴史の危機の中で気に入った文章を書き出しておく。
コメント
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