日本語と英語で対比することで見える考え方の違いについて
「亡命」という日本語は、「命を亡くす」と書く。
命を亡くす。
恐ろしい言葉だ。
命を亡くすから亡命するのか、
亡命は命が亡くなるほど危険なことなのか。
日本語には、多分両方の意味合いがあると思う。
つまり亡命とは、死と隣り合わせにあるような状況のことをさしている。
対して、英語で亡命とはどんな単語なのか?
単語を探してみた。
亡命 exile
亡命者 refugee
他にも亡命を意味する単語はあったけど、調べて一番多くでてきたのは、この二つの単語だ。
この単語が持つ意味合いを考えてみる。
亡命 exile
文字から推測すると、「出て行く」という意味合いだろうか。
ただ出て行くという意味のみで、命の危険があるとか無いとかということには関係がないような単語の作りになっていると思う。
二つ目の
亡命者 refugee
これは、拒絶する refuse
に似ているが、後半のgeeのところで厳しいイメージを和らげているように感じた。
reは、リスタートの意味でもあるので、
やはり「やり直す」という意味合いの方が強いのではないか。
「出て行く」exile
「やり直す」refugee
この二つの単語に、「死と隣り合わせ」というような意味合いは全くない。
ということは、英語の亡命と日本語の亡命では、全く単語の持つニュアンスが違うということになる。
この違いはなぜか。
たぶん、日本人は島国の中で完結する生き方をしてきた民族なので、亡命という行為は、まさに絶体絶命の状態にでもならなければやらないような事、だという意味があるからではないだろうか。
「亡命なんていうことは、命を亡くすぐらい恐ろしいことだから、亡命なんて考えずに折り合いをつけてやっていきましょうよ」
という日本の考えを根底に感じる。
だから、「亡命」なんていう恐ろしい漢字を当てて、そんなことは考えたくもない、と思いたい(思わせたい)からじゃないだろうか。
もっと考えれば、
「亡命なんてする日本人は、その時点で既に我々の仲間ではなく、日本語文化から外れた、毛外の民になるのだから、命が亡くなる、つまり、我々にとっては死んだ人になる」
ということなのかもしれない。
英語で亡命に当てはまる語は、単純に出て行くだけでまた戻ってくるかもしれないし、これは人生の選択に過ぎないという考えがあるのだと思う。
こういう考え方の違いが、言葉にも現れているかもしれないと考えてみることは、面白い。