若者が冷蔵庫に入る理由  本音と建前の狭間で自分の無能力さに苦しむ若者達

「お店の冷蔵庫に人間が入った写真をツイッターに掲載する」
この行いによって被る被害の充分な例証が出ているにも関わらず、冷蔵庫に入る写真をアップする若者が絶えない。
巷では、ネットリテラシーが低いからとか、若者がそもそもバカすぎるからとか、そんな議論をよく耳にする。
だけど僕はこんな単純な理由だけで、若者が冷蔵庫に入り続けているわけではないと思う。
その理由について考えていく。

・衛生管理の矛盾との戦い
多分どこのコンビニや飲食店でも、衛生管理はうるさく言われる事だと思う。
だけど実際、衛生管理の規則か何かで決められた通りに日々の業務を行えているところなんて、ほとんど無いのではないだろうか。
僕がよく行く牛丼チェーンや駅前の安いうどん屋の食器やコップが汚いことは結構多い。
ひどいところは、洗剤が入った水で食器の濯ぎをしているところもある。確かに食中毒にはならないかもしれないが、洗剤が残った皿でうどんや蕎麦を食べていることになるので、なんとも怖い話だ。
これに類する手抜きが、大なり小なりどこの低価格飲食店でも行われている可能性は高い。
おそらく、低価格を売りにしている飲食店は、そのしわ寄せが人件費にも響いているため、仕方なしに表に気づかれにくいところで手抜きをしている可能性がある。
そして、そのような業務をしている若者達が「本当にこれでいいのか?」と疑問に思いつつも、人員的にも時間的にも実力的にも改善は不可能な状態のため、そのまま良くないことをやり続けるはめになっている。

そしてこの問題点を上司にかけあって改善する意欲も気力も無い若者達は、この自らに溜め込んだ矛盾を是正する措置として、ツイッターで公に自らの蛮行を披露することで、自分の心の中にある葛藤を消滅させようとしたのではないだろうか。これはやはり、一般的に日本で求められているサービスのレベルが高くなり続けていることが原因の一つでもあるだろう。その求められるクオリティを達成できないので、最低限食中毒と見た目の汚れを防ぐために、洗剤のついたままの皿で飯を出すのようなことになっているのだ。

建前で食中毒と見た目の汚れを落とし、本音では、そもそも人体に悪影響があることなど知った事は無いというところだ。

本音の建前の世界。
その本音と建前の、本音のところを受け持つ当の若者達は、自分が本来やらなければならないレベルの業務(建前)と、実際に行える業務(本音)との大きな隔たりの差に苦しめられているのだろう。
こういった矛盾と自らの無能とがかけあわされることにより、あのような突飛な行動へと昇華されていったのだ。
もちろんそこで雇われ給料をもらってる分際で、その雇い主に損害を負わせるなどあってはならないことである。
しかしながら、受け取る金額に比べて、求められるクオリティがあまりに高くなりすぎている日本の仕事のしわ寄せが、そのクオリティを実力的にも時間的にも成し遂げることの出来ない若者へと、降り注いでいることもまた事実である。
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