小田原城と新幹線
「小田原駅を時刻通りに通過いたしました」
このアナウンスは、新幹線で東京に向かう時に流れるものだ。
新幹線が時間通りに走ってることをアナウンスしてるんだけど、新幹線が時間に遅れるなんて、僕は露ほども思っていない。
でも、このアナウンスには色々な「深い」意味があると思う。
少し列挙していくと
・ついに関東にやってきたという合図
・もうすぐ新横浜だから、そろそろ降りる心の準備をしといてねという合図
でも一番伝えたいのはおそらく、「こんなに速く動くものが時刻通りに短い駅を通り過ぎれるってすごいだろう
えっへん」
この「えっへん」を伝えたくて、小田原駅を時刻通りに通過したということを伝えているんだと僕は思った。
なぜ、そのアナウンス地点が小田原駅なのか?
もちろん、それと関係ある。
小田原は今でも城下町として観光スポットになっている。
みんな知ってる小田原城があるからだ。
北条家が作り上げた、巨大城郭の小田原城。
あまりの城の大きさゆえ、北条家は安心しきって小田原評定という言葉で有名な、何もきめずにグダグダするというような文句を生み出したりもしている。
だけれども小田原城は、上杉謙信や武田信玄の囲みにも悠々耐え抜き、秀吉が天外な作戦で攻略するまではまさしく絶対安全な城であった。
その外郭は、街ごとすっぽりそのまま入るような巨大さであり、大阪城をも凌いでいた。
おそらく軍事拠点としての日本の城の概念とも一線をかくしていたと思う。
いわば、戦国時代の北条家の財力と技術の粋を集めた日本一の巨大城郭であったわけだ。
その小田原駅を時刻通りに通過していますというのは、まさしく日本の財力と技術力をアピールしたいという隠れた意図に違いない!
その、城下町小田原と新幹線という一見不似合いな二人が、実は技術という深いところで繋がっている。
恥ずかしがり屋さんの日本人には、ちょうど良い奥ゆかしさだろう。