最近入った後輩に、南雲という名前の男がいる。
南雲といえば、太平洋戦争でミッドウェイ海戦で米軍に大敗を喫した指揮官だ。
「南雲がまともな戦をしとったら!!」
とお怒りのおじさんおっさんも多いことだろう。
そんな、南雲さんと同じ名前だということで、少しばかり僕は同情していた。
多分、嫌なことを言われたこともあるだろう。
自分が敗軍の将と同じ苗字だということは、予想以上の重しが肩にのしかかっているに違いない。
そう思い、僕は彼が不憫であった。
だから僕は彼に、「まぁ、南雲さんも現場の指揮官として精一杯戦ったんやし。負けようと思って戦う人間なんておれへん。」
と最大限慰めた。
さらに
山本五十六っていう映画では、
南雲さんがミッドウェイで負けたとき、山本五十六が「南雲さんを責めるなよ」
と言っていたことも、伝えた。
いやぁ、本当に山本五十六はいい軍人やなぁ!
・・・南雲さんの話やった。
「戦というのは、変幻の中にあって、勝ち負けはただの結果に過ぎない。
現場の指揮官にしかわからないことがあるので、その現場にいない人が後方からごちゃごちゃ言うべきではないのだ」
のようなことを伝え、その名前を背負ったがゆえにあったであろう今までの不憫を少しでも和らいだらいいのに。。
との思いであった。
完成された労りの言葉を述べ終え、満足げな僕に対して
南雲君が一言。
「僕、あんまり歴史のことは知らないもんで・・・」